遊びで言葉を豊かに!家庭でできる簡単コミュニケーション遊びアイデア【発達支援】
はじめに
お子さまとの日々の関わりの中で、「言葉がなかなか出てこない」「伝えたいことをうまく表現できない」「お友達とのやり取りが苦手」など、言葉の発達やコミュニケーションについて気になることはありませんか。言葉の力は、自分の気持ちを伝えたり、相手の思いを理解したり、社会の中で関わっていくためにとても大切な基礎となります。
特別な教材や専門的な訓練も有効ですが、実は、ご家庭での普段の遊びこそが、言葉の発達やコミュニケーション能力を育むための宝庫なのです。身近なものを使ったり、少しの工夫を加えたりするだけで、お子さまは遊びながら自然と言葉の世界を広げていくことができます。
この記事では、「遊びで育む発達支援」の視点から、ご家庭で手軽に実践できる言葉やコミュニケーションの発達を促す遊びのアイデアをご紹介します。専門的な知識がなくても大丈夫です。お子さまとの楽しい時間を共有しながら、言葉の力を一緒に育んでいきましょう。
なぜ遊びが言葉の発達に良い影響を与えるのか
子どもは、遊びを通して世界を認識し、学びを深めていきます。特に言葉やコミュニケーションに関しては、以下の点で遊びが大きな役割を果たします。
- 自然な学びの機会: 遊びの中では、特定の言葉やフレーズを強制されるのではなく、楽しい経験と結びつきながら自然に言葉に触れます。
- 繰り返しと定着: 好きな遊びを繰り返す中で、関連する言葉や表現も繰り返し耳にし、使い、定着させていきます。
- コミュニケーションの動機付け: 遊びを共有したい、自分の意図を伝えたい、相手の意図を知りたいという気持ちが、コミュニケーションをとる強い動機付けとなります。
- 非言語コミュニケーションの理解: 表情、ジェスチャー、声のトーンなど、言葉以外のコミュニケーション方法も遊びの中でのやり取りを通して学びます。
- 安心感と自己肯定感: 楽しい遊びの環境で、言葉を使うことへの抵抗感が減り、挑戦しやすくなります。うまく伝えられた経験は自信につながります。
家庭でできる!簡単コミュニケーション遊びアイデア
特別な準備はいりません。普段の生活の中に少しだけ遊びの要素を取り入れてみましょう。
1. 絵本や図鑑を「楽しむ」読み聞かせ
読み聞かせは言葉を育む基本ですが、一方的に読むだけでなく、コミュニケーションを楽しむ工夫を加えましょう。
- 声色や表情を変える: 登場人物になりきって声を変えたり、物語に合わせて豊かな表情を見せたりします。
- 「これなあに?」「どうなると思う?」と問いかける: お子さまの理解度に合わせて、絵を指差して名前を聞いたり、次の展開を予想させたりします。すぐに答えが出なくても、「うーん、なんだろうねぇ?」と一緒に考える時間を持つことが大切です。
- 絵本の真似っこ: お気に入りのセリフを一緒に言ってみたり、登場人物のジェスチャーを真似たりします。
- 関連する実物を見る・触る: 絵本に出てきた動物や乗り物、食べ物などを図鑑で見たり、実際に触ったりする機会を持つと、言葉とイメージがより強く結びつきます。
2. 日常の中に言葉のやり取りを増やす「おてつだい遊び」
お手伝いは、具体的な動作と言葉を一致させる絶好の機会です。
- 「〜をとって」「〜に入れて」など簡単な指示をお願いする: 具体的な物を指差しながら「赤いコップを取ってくれるかな?」「おもちゃ箱に入れてね」など、分かりやすい言葉で伝えます。
- していることを言葉にする: 「ママは今、お野菜を切っているよ」「これはニンジンだよ、オレンジ色だね」など、声に出して説明します。
- 「ありがとう」「すごいね!」のやり取り: お手伝いできたことを褒めたり、感謝を伝えたりすることで、肯定的なコミュニケーションの経験を積みます。
3. 音や動きを楽しむ「オノマトペ遊び」
擬音語(ワンワン、ザーザー)や擬態語(キラキラ、ふわふわ)は、言葉の響きが面白く、感覚と結びつきやすいため、子どもが言葉に興味を持つきっかけになります。
- 絵本や歌で楽しむ: オノマトペがたくさん出てくる絵本を読んだり、歌を歌ったりします。
- 日常の音や様子を言葉にする: 雨の音を「ザーザーだね」、車の音を「ブーブー」、お布団の感触を「ふわふわだね」などと表現します。
- ジェスチャーと組み合わせる: 「キラキラ」と言いながら指を動かす、「ふわふわ」と言いながら軽く触れるなど、体の動きと結びつけると理解が深まります。
4. 身近なもので「言葉集め・言葉探し」ゲーム
家の中にある物を使って、語彙を増やしたり、分類する力を養ったりします。
- 「仲間集めゲーム」: 「食べるもの、どれかな?」「丸いもの、見つけられる?」など、カテゴリーを決めて家の中にある物を探します。見つけたら「これはリンゴ、食べるものだね」「ボール、丸いね」などと確認します。
- 「これはなあに?クイズ」: 布で隠した物の一部だけを見せたり、物の特徴(「長いもの」「冷たいもの」など)を言葉で伝えて、それが何かを当ててもらうクイズ形式にします。
- 「しりとり」や「言葉の連想」: お子さまの言葉の発達段階に合わせて、簡単な言葉から始めます。「りんご」→「ごりら」、「あかいもの」→「いちご」など、言葉の繋がりや関連性を楽しみます。
遊びをスムーズに行うためのヒントと工夫
- 子どもの興味を最優先に: 子どもが楽しんでいることが一番大切です。無理強いせず、子どもの興味を引くものから始めましょう。
- 短い時間でも毎日続ける: まとまった時間が取れなくても、5分でも10分でも、毎日少しずつ関わることで効果が期待できます。
- ポジティブな声かけを大切に: 言葉が出なくても、間違えても、「言ってみようとしてすごいね!」「聞こうとしてくれてありがとう」など、プロセスを褒める言葉を選びましょう。
- 焦らない、比べない: 子どもの発達ペースは一人ひとり異なります。他の子と比べず、お子さま自身の成長を温かく見守りましょう。
- 親自身も楽しむ: 親が楽しんで関わる姿は、子どもにとって何よりの刺激になります。
他の家庭での成功事例・体験談
- 「うちの子はあまり言葉が出ませんでしたが、絵本の読み聞かせで、私が楽しそうに声色を変えたり効果音をつけたりしていたら、絵本の内容に合わせて小さな声で笑ったり、『あー』と声を出すようになりました。そこから少しずつ、絵本に出てくる簡単な単語を真似するようになってきています。」(Aさんの声)
- 「お手伝いを遊び感覚で取り入れて、『お皿さん、テーブルさんにごあいさつだよ』と言いながらお皿を運んでもらったり、『お野菜さん、お鍋のお風呂に入ろうね』と言いながら鍋に入れてもらったりしていたら、単語だけでなく二語文で『お皿、テーブル!』『ニンジン、お風呂!』などと言うことが増えました。お手伝いが成功すると、得意げな顔を見せてくれます。」(Bさんの声)
- 「公園で遊んでいる時に、すべり台を『つるつるー』、ブランコを『ゆーらゆら』、地面を『ざらざら』など、色々なオノマトペを声に出して遊んでみました。最初は私だけでしたが、そのうち子どもも真似して言うようになり、家でも絵本を見ながら『わんわん!』『にゃーにゃー!』と楽しそうに声を出しています。」(Cさんの声)
まとめ
言葉の発達やコミュニケーション能力は、遊びを通して、楽しみながら自然に育まれていきます。ご紹介したアイデアは、どれも特別な道具が不要で、ご家庭ですぐに始められる簡単なものです。
大切なのは、お子さまとのコミュニケーションの時間を大切にし、「言葉って楽しいな」「誰かと話すって嬉しいな」と感じてもらうことです。焦らず、お子さまのペースに合わせて、日々の生活や遊びの中に言葉とコミュニケーションの機会をたくさん取り入れてみてください。
ご家庭での温かい関わりが、お子さまの言葉の世界を豊かに広げる力となります。応援しています。